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レバレッジとは?
外国為替証拠金取引であるFXは、証券会社に証拠金を手渡すことによって、それを元手に何倍、何十倍もの通貨を取引することができ、その仕組みを「レバレッジ」と呼びます。
例えば1万円を証拠金として1ドル100円の通貨を1000個購入して、後に1ドル120円になったときに売却したとすると、購入したときの代金は100*1000 = 10万円。それが後に12万円になっているので、差益は12万円-10万円=2万円。レバレッジは10万円 / 1万円 = 10倍となります。要は金利のない借金みたいなものです。実際にかけられるレバレッジの量は証券会社によって違いがありますが、だいたい400倍くらいが最高のようです。
さて、他のFXについて言及しているブログではレバレッジについてあんまり詳しく書いていなくてちょっと不満だったので、これを数式にして、そのあとそれから生じるリスクについて考えてみることにしました。
レバレッジの数式
あなたは優秀な投資家で、常に安定した複利で資産を成長させることができるものします。それにレバレッジを常に一定の倍率でかけた場合、資産はどのように成長するのでしょうか?
まずN0を初めに投資する資産金額、rを1期間における複利、Lを1期間にかけるレバレッジの倍率と定義します。そうすると1期間後における資産金額N1は以下のように表せます。
これは第2項目までが1期間によって生じた収益、第3項が元の金額となっています。同様にこの数式を2期間後にも適応してみましょう。
このように綺麗な数式となりました。これを第n期間まで拡張すると、
となります。単純にレバレッジをかけずに運用した場合、L=1となるので、この式はrをL倍した複利で運用することに相当します。
で、結局なんなのさ?
具体例で考えてみることにします。もしあなたが年利10%で安定した運用を行えたとすると、これをレバレッジをかけずに10年間続けた場合の資産の倍率はL=1,r=0.10より(1+0.1)^10 = 2.59 倍
となります。それではレバレッジを仮に3倍でかけたとすると、L=3となるので、倍率は
(1+3*0.1)^10 = 13.79 倍
となります。全然違いますね。Lの値がN0ではなく、指数関数に入っているところが恐ろしいです。
でもそんなおいしい話が転がっているわけがない
そりゃあ安定して10%も運用できればいいですが、普通は下落するリスクも併せ持っていることが普通です。14倍になるってことは資産が14倍下落するリスクも同様に併せ持っているということです。
仮にrが確率変数で、平均がµ,標準偏差がσだとすると、確率変数の性質よりLrの平均はLμ,標準偏差がLσとなってしまいます。このことよりリスクもリターンもLに比例していることがわかります。
しかもFXは一度でも資産があるデッドラインまで下がったら自動的にロスカットが実行されてしまいます。つまりレバレッジを上げるということは、資産を失う確率も高めるということです。
どれくらいのレバレッジなら許容できる?
追記。それではどれくらいのレバレッジならば、ロスカットとならずに比較的安定した運用ができるのでしょうか?
通貨をUSDJPYで固定して、1年間の運用を行うものと考えてみます。仮にrが正規分布に従う確率変数として、1年間のリターンをμ[%],1年間の標準偏差(ヒストリカルボラティリティ)をσ[%],ロスカットとなる利率を-d[%]とすると、限度であるレバレッジLは
となります。試しに計算してみましょう。スワップ派のサイトによると、USDJPYのHVはσ=6.95%であるので、今回は確実に安定して運用するために95%の確率で収束する2σを採用します。またμの値はUSDJPYのスワップポイントである、2.1%を採用します。そしてdを50%とすると、Lの値は
L = 50 / (6.95*2 - 2.1) = 4.24[倍]
となるので、レバレッジが4倍以内であれば、およそ95%の確率で安全圏に収束するということが分かります。
まとめ
- 確実に利益を出せるという自信がない限り、あまりレバレッジを極端にかけないほうがよい。
- 逆に言えば、確実に利益が出せる自信があるなら積極的にレバレッジをかけたほうがよい。
- 何も考えずに400倍とかのレバレッジでやっている人はただのギャンブラー。
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