2010/04/01

近況報告 1/2

"Recent Photos" by Art Pets Photography

大学生は当たり前ですが休みが2ヵ月もありー個人的にはそんなにいらないんじゃないかとも思うわけですがー特に4年生ともなりますと、自分の周りではそれはもう、いろんな人が好き勝手なことをやっているわけであります。具体例を挙げますと、雀荘でプロとして活躍していたり、iPhone, Androidなどのアプリを開発していたり、いきなり数十万を持って地球一周すると豪語して日本を飛び出していったり、おら医者になるとか言って医学部に入りなおしたり、路上でライブやってたり、かと思えば大学の図書館で泊まり込んで24時間勉学に励んでいたり、などなど…みなさん生き生きと活動をしているなぁという実感を持ちまして、自分もそれじゃあ社会人になって後悔しないような大学生活を送っていこうと、決意を新たにしたわけでございます。

で、自分はといいますと、ひたすら本を読んでおりました。なんだそれだけかと思うかもしれませんが、今まで自分が読むものと言えば技術書や学術書で、特に文学というものを深く嗜好してはおりませんでしたので、聡明な文学部の方と協力しながら、ひたすら本を読み込むという作業を行っていました。
ですから自分の春休みは、本を読んで、TOEICの対策をして、仕事をして、ちょくちょく飲み会やら気になる人と会う、という一日の繰り返しでした。というわけで、いままでどんな本を読んで、どんな感想を持ったのか、少し羅列してみることにします。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫

光文社 2006-09-07
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まずはこれ。でででん。「この小説すげぇ!」という人が自分の回りに何人もおり、しかも『東大教官がすすめる100冊』にぶっちぎりトップになっているということで今までずっと読んでみたかった書籍(*1)なのですが、正直これ去年の夏に読もうとして挫折したんです。とにかく登場人物は多いし、愛称があるし、メインキャラクターの紹介で数百ページ続くし、文学に慣れてないのにこれはだいぶハードルが高い代物でした。

今回は前回の反省を生かして、常にノートを取るようにし、重要な箇所は線を引いてノートと比較してみるなどして、一日100ページくらいのゆったりしたペースで読み込んでいきました。あとは周りの人に質問をして、さらなる理解を深めるといった形です。この書籍は全部で5巻くらいあって、1巻につき大体500ページあるので、1ヵ月くらいで読破することができました。やった。

この小説の凄いところは、もうありとあらゆる欲が凄まじいリアリティを持って描かれているところです。そして、その欲にかかわる普遍的な悩みや行動が、これまでかというまでにせめぎあっているわけです。『こういう人間いるよなぁ』とも思いますし、『あ、これ自分だわ』とも思うような、そういう小説です(*2)。

個人的には2巻の大審問官とゾシマ長老の話が一番楽しめました。あれが一番読み応えのある箇所です。特に無心論者が多い日本では、大審問官の話はある程度共感できるのではないでしょうか。二者の対立した意見をそれぞれ『プロとコントラ(天使と悪魔)』とする亀山氏の解説は、なるほどなという印象です。

この小説はまた数年後にもう一回読み込んでおくことにします。とにかくこの作品は一回読んだだけでは完全に理解することはできません。しかも数年経ちますとまた全然違う印象になっているでしょうし。フョードルの心境が理解できるようになる日は来るんでしょうか。

(*1) 今回読んだ古典新訳文庫の亀山訳は誤訳が酷いということで、よく批判の対象となっています。確かに論文なんかで使うにはこの訳は不適切かなぁと思う箇所は(サイトを見るかぎりですと)いくつか存在しますが、普通に楽しむ分にはこれで問題無いような気がします。特に本をあまり読まない方々にとってはなおさらです。

(*2) ちなみに自分が一番近いなぁと思ったキャラクターは、イワンとコーリャです。イワンの独白やコーリャの暴走部分はなんかこう、自分を客観的に見ているようで、単調直入に言うとすんごく苦痛でした。あと1巻のドミートリーが自身の恋愛観をアリョーシャに伝えている箇所とかもう…あばばばばば

クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)
池 央耿

光文社 2006-11-09
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続けて重い本を読みたくなかったので、息抜きとして読んだ本。イギリスの文豪ディケンズの代表的な作品。読んでたら涙ぐんでしまい、周りの人に見られてちょっと恥ずかしかったので、読むときは家など人に見られない場所がおすすめです。ページ数も170Pと非常に少ないので、自分は2日で読了しました。

とにかく有名すぎる作品で、内容は非常にありきたりです。ですが、今後の先行きが不透明で、ますます拝金、功利主義がその勢力を強めている現在だからこそ、こういった作品が重要になってくるのだと思います。

最後にamazonのレビューで共感したtongue氏の文章を引用して終わります。
スクルージは守銭奴というより、心に傷を抱えながら、懸命に世間と戦い、いつしか損得しか信じなくなってしまった企業家といったほうがぴったりだ。そんな男が精霊の導きで、幼い自分や青春時代の自分を思い出し、少しずつ人間らしい暖かい心を取り戻していく。その暖かさの象徴は暖炉を囲んだ食事であり、家族だ。本書は子供より大人に読んでほしい。大人たちは多かれ少なかれ、スクルージであると思うから。
あーだめだ。たった2冊書いただけでこんなに多くなってしまった。また明日続きを書くことにします。

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