ちょっと挑戦的なタイトル。現在「金融工学入門」の息抜きとして、投資するまえにこれを見ろ!とクオンツから評判の「ウォール街のランダム・ウォーク」を読みすすめています。まだ読んでいる最中なんですけど、内容的には「バブルに乗って急上昇の株を買う」とか「数日で運用金額を数倍にしようとして、値動きが激しい株を買う」なんていうことはせずに、過去の教訓を学び、金融工学の立場からランダムウォーク理論やファンダメンタル分析を頭に入れて、リスクを考慮した投資をしましょうみたいな感じです。
ちなみに「ランダムウォーク理論」っていうのは端的に言うと、
「微小時間の値動きがブラウン運動となる理論」
もっと分かりやすくいうと、
「すべての値動きはランダムだから過去の値動きから将来の株価の分析やっても意味ないよ!」
っていう、金融工学から出てきた理論です。この理論によると、「目隠しをしたサルに新聞の相場欄めがけてダーツを投げさせ選んだ銘柄でポートフォリオを組んでも、専門家が注意深く選んだポートフォリオとさほど変わりない運用結果が得られる(p.4)」ことになります。
これは正直プロのチャーチストから見れば不快極まりない理論なわけで、もちろん批判も多いのです。個人的には長いスパンでは成り立つとは思いますが、短期ではあんま成り立たない理論だと思います。前の記事であんなこと書いちゃいましたし。
で、話がそれちゃったんですけど、面白いなと思ったのが1960年代あたりにアメリカで起こった「エレクトロニクス・バブル」の紹介です。そのころはとにかく「成長」という言葉がをアメリカ全土をとりまき、特にテクノロジー関係の銘柄はその高い成長率から、非常に高い株価がつけられました。そのため、テクノロジーとは全く関係のない会社も「エレクトロニクス」という名前をつければ株価が急伸するという異常な事態に見舞われました。
社名こそが鍵であった。「トロン」と名のつく会社は、アストロン、ドゥトロン、バルカトロン、トランジトロンなどなど多数であった。また、「ニックス」のつく会社も、サーキトロニクス、スプロニクス、ビデオトロニクスなどがあり、さらに何社か○○エレクトロソニクスという会社もあった。そのきわめつけは、全ての要素を盛り込んだ「パワートロン・ウルトラソニックス」という会社であった。
投資信託業界のリーダーの一つのドレイファス・アンド・カンパニーのジャック・ドレイファスは、この狂気の流行について次のようにコメントした。
「これまで40年間、靴の紐を製造してきた堅実な小規模会社で、株価収益率6倍の会社があったとしよう。この会社の名前を"Shoelace inc."から"Electronics and Silicon Furth-Burners"に変えたとしよう。今日の市場では"Electronics"と"Silicon"の組み合わせは株価収益率15倍に値する。しかし、本当の鍵は"Furth-Burners"という、誰も理解できない言葉に隠されている。誰も分からない言葉と言うのは、総合評価を倍増させる効果がある。ということは、靴紐製造の事業そのものの株価収益率が6倍、"Electronics"と"Silicon"の名前で15倍、合わせて21倍の価値がある。これがさらに"Furth-Burners"という名前のために倍になるため、この新社名の株価収益率は42倍になるのである。」(p.40-41)
完全にバカにしています。ただ、この馬鹿げたバブルを教訓にしたかというとそうでもなく、やっぱり現在でもテクノロジー系統の株価というのはニュースに敏感に反応する傾向があるようです(ライブドアショックとかもありましたし)。テクノロジー関係について良く分かっていない投資家が多いため、そのぶん敏感にならざるを得ないのかもしれません。
もし狙うとしたらニュースがないためにしぼんで割安になっている株を購入して、プラスのニュースが出たときに売るっていう感じでしょうか。あるいは狂気の沙汰となっている状態に空売りして、急落したときに買い戻すとか(諸刃の剣)。
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