前回の続きです。それでは計算によって求められた確率を載せたいと思います。
結果
結果は以下のとおりです。保険料の金額は「価格.comの保険カテゴリ」で調べました。また、金融工学では通常ローンの利率を国債などの無リスク資産の年率で計算するので、今回はそれに合わせて日本の国債の年利1.37%を用いて計算しました(左上のボタンで全画面表示にできます)。
求められた確率をグラフで表すと以下のようになります。
これではちょっと分かりにくいので、1年のうちに入院をする確率に補正してみましょう。10年間ずっと健康である確率をQとします。1年ずっと健康である確率Pがそれぞれ独立であり、すべて等しいと仮定すると、
P = Q^(1/10) (^はべき乗を表す)
となるので、これを用いて計算すると、
となりました。40代に入ってから、入院の確率が幾何級数的に増加していますね。
求めた確率は結局何を表しているのか?
前回の記事では2つの保険商品から1つの単純な賭けの問題に変形して確率を求めました。これは商品の値段ともらえる値段の期待値が等しくなる確率、言い換えると、「あなたも会社側も、お互い得も損もしない賭け事となる確率」です。この確率はお互いにとって中立であると言う意味で、金融工学では「リスク中立確率(Risk-neutral Probability)」といいます。
実際はそれだと会社側にとって利益がでないので、本当の確率は会社にとって有利な確率、つまりリスク中立確率よりも低い確率であると推測されます。
問題点
今回の計算では10年健康でいたら1回だけボーナスがもらえるという前提で計算をしたんですが、実際は保険料はそのままで、10年ごとに健康だったらボーナスをもらえるという商品なんです。そのため今回の計算だと、10年以降も健康でいる確率は考慮されていないわけです。これはわざわざ10年後に自分にとってさらに有利になる(保険料は同じなのに、歳を取るごとに入院する確率は増えるため)商品をわざわざ解約していることになるため、今回算出した確率は元からリスク中立でない、高めの確率を算出しているということになります。
で、その10年後の確率も考慮して解くってなるとちょい行列計算とか入って専門的になっちゃうんで、今回はやりません。ひまがあったらやってみます。